みなさん、こんにちは。
当ブログでは、「働くこと」をテーマにしていますが、
これから向かっていく、未来の世界というのは、
働くことはもちろんのこと、仕事や、経済的な面だけでなく、社会全体の価値観といった、ありとあらゆるものまで、私たちに大きく影響を及ぼしていきます。
とりわけ、この未来の世界に、大きな変化を及ぼすものは、テクノロジーですね。
これまでの歴史においても、人類は、テクノロジーの進化とともにありました。
当ブログでは、これまで、AIやIoT、自動運転などをご紹介していますが、
今回は、同じく、第4次産業革命のテクノロジーの1つ、5Gについてご紹介します。
5Gは、日本では、来年(2020年)、令和の時代とともに幕開けとなる技術です。
みなさんも、上のアンテナに、4Gと表示されているスマートフォンをご利用になられているかと思いますが、5Gは、その次の移動通信システムです。
本記事をご覧になれば、
5Gは、これまでと何が違うのか、その技術やしくみについて理解できるとともに、
5Gになることにより、これからの未来の世界はどう変わっていくのか、創造できるようになるでしょう。
是非、ご覧ください。
5Gへ~移動通信システムの歴史とサービス~
5Gとは、5th Generation、つまり、第5世代の移動通信システムのことです。
第5世代ということは、過去の世代があって、段階を踏んで現在に至るわけですから、
5Gについて理解を深めるためにも、まずは、移動通信システムがどのように進化してきたのか、見てみましょう。
①1G
1979年、当時の日本電信電話公社が、自動車電話を商用化しました。
1980年、持ち運びのできる、携帯電話のサービスが始まります。
このときの移動通信システムが、1Gで、
ラジオのように、音声を、電波にのる信号に変換して伝送する、「アナログ方式」でした。
②2G
1Gの「アナログ方式」は、伝送品質や伝送距離の面で課題があったので、
データを、0と1でできたデジタルデータに変換して電波にのせる、「デジタル方式」の技術開発が進みました。
1990年代は、この「デジタル方式」による移動通信システム、2Gの時代です。
デジタル方式により、データ通信が、容易にできるようになり、
携帯電話は、通話(音声)だけでなく、メールをはじめとした、
データ通信サービスを利用するための端末、になりました。
携帯電話は、
人と人が、いつでもどこでもコミュニケーションできる、移動電話としての存在から、
いつでもどこでもサービスが利用できる、プラットフォームへと進化しました。
③3G
2001年、3Gは、初めて国際基準として定められた移動通信システムです。
これにより、日本の携帯電話端末を、海外でも使えるようになりました。
FOMA(NTTドコモ)は、3Gの商用サービスとしては、世界初の快挙でした。
国内初のiPhoneで、スマートフォンの爆発的な普及とともに、ソフトバンクの躍進のきっかけとなりました。
その後、高速化に向けて、
- 3.5G
- 3.9G(LTE)
と開発されました。
④4G
2012年
標準化団体で、次世代の通信方式がまとめられ、
4Gのサービスがはじまります。
動画配信サービス、モバイルゲームなどの、大容量コンテンツが普及し、
スマートフォン上のサービスは、巨大な市場をつくり出しています。
まとめ
ご紹介したように、移動通信システムは、
キラーサービスとともに、進化してきました。
- 1G「音声通話」
- 2G「メールやウェブ」
- 3G「プラットフォームとサービス」
- 4G「大容量コンテンツ」
このように、移動通信システムが進化すると、革新的なサービスが生まれます。
サービスが、移動通信システムに、より高い要求をし、それに応えるべく、
移動通信システムがさらに進化する、ということを繰り返しながら、成長をしてきたのです。
総務省の、我が国の移動通信トラフィックの現状 によると、
国内の移動通信の総量は、飛躍的に伸びています。
このように、移動通信システムの革新が求められている中で、
いよいよ5Gがやってくる、ということになるのです。
5Gの技術とは
5Gがもたらす変化を知るには、5Gの技術を理解する必要があります。
ここでは、5Gの技術について、ご紹介していきます。
2015年9月に、国際標準化団体は、通信に関する標準化に先立って、5Gのビジョンを検討し、発行しました。
その中で、5Gの、3つの利用シナリオが示されています。
①高速大容量通信
これまで活用することが難しかった、高い周波数の電波を制御する技術が成熟してきたことにより、実現できるようになりました。
4Gで与えられてきたもっとも高い周波数は、
2014年12月に割り当てられた、3.5GHz帯なので、
5Gの周波数は、これよりも高くなっていることがわかりますね。
次に、肝心の、通信速度ですが、
規格上の性能条件を、分かりやすいように、4Gと5Gの比較でまとめました。
ご覧の通り、桁違いの高速化、とりわけ、上りの強化が著しいことがわかります。
5Gの活用では、この上りの強化をすることによる、恩恵がとても大きいのです。
②超信頼・低遅延通信
5Gの遅延は、1ミリ秒(1000分の1秒)となっており、
これは、4Gの、10分の1にあたります。
人が実感することができない長さのため、
5Gは、ほぼ、リアルタイム通信、と言っていいでしょう。
では、この低遅延通信をどのように実現しているのか、ご紹介していきます。
エッジコンピューティング
たとえば、スマートフォンで、インターネット上のコンテンツにアクセスし、それをダウンロードする、という通信を考えてみましょう。
通常の通信
通常の通信は、図のように、
スマートフォン→基地局→通信業者のネットワーク(コアネットワーク)→インターネット上のサーバー
という流れでコンテンツにアクセスし、
ダウンロードは、これと逆の流れをたどっていきます。
それに対して、
エッジコンピューティング
エッジコンピューティングは、
スマートフォン→基地局→基地局近辺に設置されたサーバー
という流れでコンテンツにアクセスし、
ダウンロードは、これと逆の流れをたどっていきます。
このように、5Gは、エッジコンピューティングによって、従来とは違い、
短い通信経路で完結する方式、をとっているため、遅延が抑えられています。
エッジコンピューティングとは、
通信業者にとってのネットワークの端(エッジ)である基地局で、必要な処理(コンピューティング)を行う、という意味で名づけられました。
このように、ネットワークの端(エッジ)で処理することにより、リアルタイム性を確保しているのです。
C/U分離
通信には、2種類あります。
制御を目的とした通信
どの端末がどの基地局と接続しているか、端末が通信可能な状況にあるかを識別する
データを伝送する目的とした通信
コンテンツをダウンロードしたり、オンラインショップで注文をだしたりといった通信
現状は、これらが一体的に運用されていますが、5Gでは、
制御系の通信を、Cプレーン(コントロールプレーン)としてくくりだし、
データ伝送系の通信を、Uプレーン(ユーザープレーン)として、
それぞれが、分離した設計となっています。
これを、C/U分離といい、これにより、インターネットを経由する通信と、エッジコンピューティングで処理する通信が並存する場合のネットワーク管理が容易になります。
ネットワークスライシング
ネットワークスライシングのしくみ
通信は、その使われ方によって、求められる要件にも多様性があります。
例えば、クルマの自動運転を実現するためには、
周りの車両や標識、信号、歩行者といった情報を検知し、その解析結果をもとに、
ハンドルやアクセル、ブレーキを制御するための通信であれば、接続が切断されてはいけません。
また、急な歩行者の飛び出しを検知して、ブレーキをかける、というシーンを想像すると、通信の遅延も許されません。
一方で、電気やガスのメーターのデータを、自動収集し、そのデータを集約して請求額の計算に使うための通信では、リアルタイム性は必要ないので、
定期的に、比較的通信が空いている時間帯に行うことができます。
通信に失敗しても再送すればよく、致命的なトラブルに至ることもありません。
5Gでは、C/U分離を行うことにより、多様な通信が混在する場合に、
ネットワーク全体の混み具合を考慮した上で、最適なリソース配分をしやすくなります。
このとき、通信の種類ごとに、ネットワーク層を、仮想的に薄切りにして、個別の層にするというのが、ネットワークスライシングです。
5Gでは、これも、実装しやすくなります。
③多数同時接続
これは、一つの基地局に、大量の端末を収容できる、というものです。
4Gは、一つの基地局に、100台程度の端末が、同時にアクセスすると、接続できなくなる、ということもありました。
5Gでは、これを100倍にし、1万台程度の端末が、同時にアクセスしても、きちんと接続できるようになっています。
これは、一般消費者のスマートフォン利用を想定しているというよりは、
あらゆる場所にセンサーが埋め込まれ、通信によってデータが収集される、
IoT時代を見据えたものでしょう。
グラント・フリー方式
多数同時接続は、現在も標準化作業が進められている最中ですが、
ここでは、日本が提案する、グラント・フリー(Grant Free)方式を紹介します。
グラント・フリーのしくみ
この方式は、国立研究開発法人、情報通信研究機構が提案する方式で、
端末と基地局での間の制御系の通信をシンプルにして、混雑を回避する、というものです。
通常、端末と基地局の間で通信を開始する場合、利用する電波の周波数や、利用する時間を、端末と基地局の間でやり取りをして、基地局が事前許可(Grant)を発行します。
グラント・フリー方式は、その事前のやり取りを省略して、最初からデータを送ってしまう、という方式です。
送信に失敗して、データに欠損が発生してしまうリスクが大きくなってしまいますが、その場合の再送信の仕組みも含めて設計されています。
まとめ
このように、5Gは、
など、多様な技術を組み合わせて、
を実現しています。
5Gは、いつからはじまり、また、どう変わるのか
今後、様々な業界や産業が、5Gを利用することにより、革新していくことが予想されますが、
ここでは、あえて、5Gの影の部分にスポットを当ててみたいと思います。
5Gはいつからはじまるのか
日本における、通信業界各社の、5Gサービスの運用開始時期は、次の通りです。
NTTドコモ | KDDI | ソフトバンク | 楽天モバイル |
2020年春 | 2020年3月 | 2020年3月 | 2020年6月 |
通信業界各社が、総務省に提出した、5G開発計画では、
来年(2020年)度末時点で、すべての都道府県において、5Gサービスの運用が開始される予定、とされています。
しかしながら、5Gを先行し、2018年の時点で、商用サービスを開始した、米国や韓国においても、
5Gのサービス対象となっている都市での契約者から、
5Gの電波を受信しづらかったり、期待するような通信速度がでなかった、
といった報告がなされています。
このことからも、恐らく、日本でも、すべての国民が、ありとあらゆる場所で、5Gを利用できるようになるには、まだまだ時間がかかるでしょう。
※因みに、NTTドコモは、2024年までには、全国をカバーする予定、とのことです。
5Gでどう変わるのか
また、5Gには、十分な通信速度が出たとしても、
我々消費者が、そのメリットをどのように感じられるか、という問題もあります。
恐らくみなさんも、今、4Gを利用していて、通信が遅すぎて困っている、
という方は、少ないのではないでしょうか。
それでは、わざわざ、高い、5G対応のスマホに買い替える意味がないですよね。
記事の最初に、移動通信システムの歴史についてご紹介しましたが、
移動通信システムの進化は、キラーサービスとともにありました。
つまり、これは、5Gにおいても同じです。
我々消費者が、5Gならではの、メリットを受けられるような、
新たなサービスや、コンテンツができたり、
スマホに代わるような、新たな端末が生み出されたりすることが、
5Gの普及には、何よりも重要なのです。
そこで、通信事業者も変化していきます。
通信事業者のこれまでのビジネスモデルは、B2Xと呼ばれるものでした。
これは、B2C(Business to Consumer:消費者向け事業)や、B2B(Business to Business:法人向け事業)、つまり、消費者や事業者に、通信サービスを提供し、その対価として通信料金を得るビジネスモデルです。
ですが、先にも述べましたとおり、5Gの発展には、5Gならではの、新たなサービスやコンテンツなどが必要です。
この創出までも、通信事業者が行うのには、さすがに無理があります。
そこで、通信事業者は、B2B2Xという、ビジネスモデルを掲げています。
B2B2Xモデル※インセンティブ
意欲向上や目標達成のための刺激策。
B2B2Xでは、図のように、
通信事業者は、5Gに、付加価値(α)をつけて、他産業の、センターB事業者に提供します。
この、付加価値(α)というのは、エンドユーザーのデータから類推した、
エンドユーザーとセンターB事業者とのマッチングや、
エンドユーザーに関する情報、といったものです。
センターB事業者は、通信事業者から得た、これらの情報や、5Gを使って、
エンドユーザーに、これまで自社ではできなかったような、新たなサービスを提供します。
5G時代のビジネスモデルは、このB2B2Xモデルが基本になる、と考えられています。
よって、5G時代とは、通信事業者による、センターB事業者の、獲得競争の時代だ、ともいえるでしょう。
まとめ
まとめ
「5G」っていつから?どんな技術?できることは何?全て解説します
以上、5Gの、技術やしくみについて、これまでと何が違うのか、
また、普及においては、センターB事業者がカギを握っていることを、ご理解いただけたことと思います。
5Gは、今後、IoTなどのスマートホームをはじめ、様々な産業で利用されていきます。
したがって、5Gでできることも、様々なのですが、
ここでは、センターB事業者のサービス例を、ひとつ挙げてみます。
◇ ◇ ◇
これまで、私たちは、ゲームなどは、ソフトウェアを購入して楽しんできました。
しかしながら、これからは、ゲームは、ソフトウェアを購入してするのではなく、
クラウド上で展開されたソフトウェアを、ネット経由で利用する、
という方式に変わるでしょう。
5Gの、大容量で柔軟性の高いネットワークを、事業者は、活かしてくるはずです。
もし、販売してから、ゲームに致命的なバグがあった場合、
これまで、事業者は、ソフトウェアの回収をしなければならず、
これは、費用だけでなく、時間も手間もかかり、事業者にとっては一大事なことでした。
しかしながら、これからは、直接、クラウド上のソフトウェアをいじって修正すればよく、バグにも、簡単に対応できることになります。
よって、バージョンアップなども、容易に行えるようになりますし、
試験的なサービスの提供も、し易くなるなど、
事業者にとっては、メリットが非常に大きいのです。
また、私たちの、このサービスの利用は、
月額課金制(サブスクリプション)になるでしょう。
これは、事業者にとっては、ソフトウェアの売り切りではなく、月額課金制にした方が、安定して収入が入ってくる、というメリットがあるからです。
また、これは、私たちにとってもメリットがあります。
月額課金制ですから、初期費用は安いですし、一度、試してみて、面白くなければやめる、といった判断もすることができるからです。
また、映像も、ハードウェアに制限されることもなくなるので、
これまで以上にきれいな映像でゲームを楽しめ、
VRなどで、よりリアル感を味わうことができるようになるでしょう。
◇ ◇ ◇
このように、5Gを使った、センターB事業者からのサービスにより、
私たちの暮らしや生活は、一層、便利で豊かになっていくはずです。
今後、この、センターB事業者には、注目が集まりますし、
スタートアップ企業も、数多く出てくることが予想されます。
就職や転職においても、人気が高まることでしょう。
スタートアップについては、以前、こちらの記事でご紹介したので、
興味がある方はご覧いただければと思います。

また、私たち自身も、サービスを考えたり、起業するなど、チャンスもでてくるはずです。
いずれにしても、新しい時代の幕開け、5Gで変わる世界を、存分に楽しみましょう。
最後までお読み下さり、有難うございました。
それでは、また。
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