先月(10/28)、サントリーが、国内の全サーバー1000台を、AWSに移行した、というニュースがありました。
サントリーでサーバー、といっても、ビールサーバーのことではありませんよ。(*´∀`*)
企業として命とも言える、顧客データや、売り上げ予測、受注・発注などのデータを、全て一括して、アマゾンが運営しているクラウド、AWS(Amazon Web Services)に移行した、ということです。
今後も、関連する海外のグループ企業などを、随時、AWSに移行していく、そうです。
因みに、私の会社は、マイクロソフト社のAzure(アジュール)を使用していますが、
今回は、このような、昨今の企業に見られる、ITインフラの統合の動き、について考察し、今後の私たちは社会人としてどうあるべきか、について考えてみました。
進む、ITインフラの統合の動きと、今後の私たち
サントリーは、国内だけでも、1000台もサーバーがあるんですね。
営業マンが何人いるのか分かりませんが、仮に1000人いたとしたら・・・・・1人1台ということでしょうか?
すごすぎて、笑っちゃいますね。
それだけ貴重な情報がある、ということですから、その管理はさぞかし大変で、これまで関係者の頭を悩ませてきたことでしょう。
ニュースでは、そんな貴重な情報を、全てAWSに移行することによって、
一体的な運用や、セキュリティ対策が容易になり、また、運用管理のコストも下げられてよかった、ということですが、
果たしてほんとうにそれでよかったのでしょうか?
ITインフラの統合は大丈夫?
まず、このニュースをみて気になったことが、
会社の命とも言える情報を、全て、外国の一企業に任せて大丈夫なのか?ということです。
確かに、ITインフラを統合することで、自社管理からの解放は気が楽になりますが、
当然ながら、Amazon に何かあれば、全ての情報が危うくなりますし、
また、そうでなくとも、止まったら復旧を待つしかないですから、それによる企業の損失は、計り知れないものになります。
加えて、外国の一企業に、情報を全て抜き取られるようになる、とも言えますから、それで、必ずしも、情報の秘匿性が守られている、とは言えないでしょう。
それでも外国の企業のインフラに統合する、3つの理由
理由1.クラウドを使わないといけないから
そもそも、「クラウドに上げた時点で、データの秘匿性はなくなるんだから、多少の秘匿性の犠牲は仕方がない」といえばそれまでなのですが、
それじゃあ、「秘匿性を完全に守る」といって、クラウドを使わずに、他に、きちんと情報を管理する方法はあるのでしょうか?
例えば、昔のように、自社内に、ハードウェアを設置・維持して運用する、という方法もありますが、
日本は、地震大国ですし、災害も多いので、
その際のデータの復旧など、安全性や運用コストを考えると、あきらかにクラウドの方に分があります。
理由2.自国のクラウドは使えないから
それじゃあ、クラウドの活用は仕方がないにしても、何で、みんなこぞって、外国の一企業のクラウドを使用するのでしょうか?
せめて、自国(国内)の企業にクラウドを作らせて、それを使うようにすれば、情報の秘匿性は、少なくとも、国内では守られるのではないでしょうか?

まあ、Amazon に何かなくても、東京証券取引所(富士通)が止まるのが、今の日本のITの現状なんですが・・・・・
例えば、NTTなどは、通信基盤はすでに持っていますし、データセンターに使える拠点も、日本全土に点在していますから、
クラウドを作って、安価に提供することも可能でしょう。
ですが、AWSに匹敵するクラウドを作る、となると、そこには大きな壁があるのです。
少し話がそれますが、じつは、AWSは、30年ほど前に、NTTデータがやってた、ディーモスと、考え方は同じものでした。
ですが、残念なことに、日本は、それを定着出せることができなかったのです。
その当時(1990年頃)、日本はバブルで、とりわけ、GDPに占める、製造業の割合が高いものでした。
このため、当時の人々(日本人)は、現物主義、といいますか、実際に、目で見えるモノしか興味を持たず、目に見えないモノや、分からないものに対して、価値がない、と考える人が多かったようです。
そうこうしているうちに、10数年ほど前から、AWSは、こつこつと、大手法人のIPv4アドレスを買いあさってきました。
現在、AWSが保有しているアドレスは、約1億個ほどですが、これだけで資産価値は、170億円前後になります。
つまり、AWSと、同等規模のクラウドを展開するためには、
IPv4アドレスを新規に調達する必要がありますが、
AWSのように、全世界に展開できるだけのIPv4アドレスの入手は、困難を極めます。
このことから、現状では、たとえ、クラウドを立ち上げることは可能でも、AWSと同じサービスを立ち上げることは、実質、不可能なのです。
理由3.情報の管理に、コストや時間、労力を使いたくないから
また、クラウドを自前で持つのに、なにが問題になるか、というと、一番は、メンテにかかるコストです。
それも、サーバーの台数が多い程、手間もコストもかかります。
また、仕事としても、保守・管理のルーティンをこなすだけでは、面白いはずがありません。
やはり、力を入れたいのは、最近よく聞く、DX(デジタルトランスフォーメーション)ですね。
つまり、「ITを使って、より豊かで、便利な社会にしていく」ことに汗をかきたい、というのが、誰しもでしょう。
要するに、保守・管理にかかる、時間や労力を削ることで、
かわりに、その余った時間や労力を、より生産性の高いことに使っていくことを、多くの人が望んでいるのです。
また、その(DXの)実現のためには、多少の秘匿性が失われても気にしない、というのが、現代の共通の考え方とも言えるでしょう。
最善の情報の管理の方法とは?
クラウドは、AWSやAzure、また最近では、GCP(Google Cloud Platform)などが人気があるようです。
企業が、保守・管理しなければならないものの中には、どうしても飛ばしたくない情報や、本当に止まったら困るようなシステムなんかもあるでしょう。
そういったものは、上記の、どのクラウドでも動くように、汎用的に作り、分散させて管理していく、というのが、今のところ、考えられる、最善の情報の管理の方法です。
ただ、複数のクラウドを使えるほど、情報の管理に予算をかけられる企業は少ない、というのが現状だと思いますが・・・・・。
因みに、日本政府は、ガバメントネットワークという契約で、
オフィスや、政府共通機密情報も扱うグループウェアでは、
マイクロソフト社の、Office365、dynamics365、azureを使うそうです。
一方、業務系の、政府の共通システムでは、政府共通のプラットフォームとして、AWSを採用予定で、マルチクラウドになるそうです。
また、日立や、NECなどの日本ベンダーは、それら米国クラウドの、管理(お守り)の役割で入るようです。
いずれにしても、GAFAMに、日本政府が乗っ取られたみたいに感じるのは、私だけでしょうか?
まとめ

結局のところ、情報の管理には、クラウドを使わないといけないし、それも、外国の企業(Amazon :AWS、Microsoft:Azure、Google:GCPなど)のものを使うことになるんだね。

そうだね。
DXの実現のためには、保守・管理は外注にする。
それを突き詰めると、クラウド化になる、ということだね。
さらに、リスク分散や、適材、適所化すると、マルチクラウドになるんだ。
クラウドは、今後も、様々な環境下で、楽に、運用・開発できる仕組みが必要になってくると思うよ。

また、「情報が海外勢に抜き取られる」とか、「外資を儲けさせてどうするんだ」とかいう心配や、批判は当然あるね。
だけど、残念ながら、クラウドに限らず、日本は、半導体からOS(Windowsなど)まで牛耳られている、というのが現状なんだ。
したがって、本文中にも書いたけど、多少の不利益は犠牲にしてでも、それらを利用して、DXを発展させていくことに、力を入れていくべきだと思うよ。
日本では、2000年ごろから、省庁のIT化が推し進められていたものの、これまでは、大して動きはありませんでした。
それがここにきて、ようやく、デジタル庁を新設するなど、新たな動きをみせています。
望まれるDXも、開発するには、プログラミングを学ばなければなりませんが、
そのプログラミング言語も、用途や、流行、廃りなど、10年周期で変わっていきます。
例えば、今でしたら、AIを開発するのに最適な、Pythonが人気があるようです。
もし、みなさんのお勤めの会社が、この先、AIを活用することはない、と言うのであれば、わざわざ、Pythonを学ぶ必要はありませんが、
おそらく、この先、AIを活用しないで、会社が豊かになることはないでしょう。
つまり、必然的に、学んでいかなければならないのです。
日本は、大学を卒業して社会人になったら、あまり本を読んだり、勉強をしたりする人が少ない、と言われています。
しかしながらそれでは、世界の競争の中では生き残ってはいけないでしょう。
今後は、社会人になっても、常に勉強し、それを会社で活かして、利益に貢献できないと、安定した給料も貰えなくなる時代です。
企業としても、これまでの、新卒主義や、終身雇用は見直して、実力主義に切り替えようとしています。

※ただ、日本では、実力主義に切り替える権限のある本人達自身が、実力のない方が多いので、現状は、評価制度など、うまくいっていないのですが、これも、いずれ変わっていくでしょう。
千利休も、「成長とは常に学ぶ姿勢である」と言っています。
自発的に学ぶ姿勢の大切さ、を言っていますが、心がけたいものですね。
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