これまで、これから主流となる、電気自動車(EV)についてご紹介してきましたが、
自動車のこれからの牽引は、なにも電気自動車(EV)に限ったものではありません。
「自動運転」も、その一つです。
特に最近は、高齢者による運転事故が、大きな社会問題として取り上げられていますね。
急速に少子高齢化に突き進んでいる日本にとっては、
「自動運転」は、真っ先に導入したい技術ではないでしょうか。
そこで今回は、「自動運転」について、ご紹介することにしました。
「自動運転」の現状や、技術、問題点などを、分かりやすく解説していきますので、
ご覧下さい。
「自動運転」の基本を誰でもわかるようにまとめてみた
「自動運転技術」とは
最近、よくCMでも目にするようになった、「自動運転技術」ですが、
そもそも、「自動運転技術」とは、どういうものでしょうか。
言葉から判断すると、乗車し、最初に目的地を設定さえすれば、自動でどこでも目的地まで運んでくれる、というものを想像しますね。
じつは、「自動運転技術」には、レベル0~5まで、6段階(※)があり、
それは最終段階の、レベル5、にあたります。
※6段階・・・SAE(米国自動車技術者協会)が提唱した、「J3016」と呼ばれる指標。
やっぱり。そう簡単じゃないと思った。
そうだね。各レベルについて、これから詳しく説明していくよ。
「自動運転」のレベルとは
「自動運転技術」は、目的別に、
レベル0~2の、「運転支援システム(ADAS)」と、
レベル3~5の、「自動運転」の、
2つに分けられます。
「運転支援システム(ADAS)」とは
「運転支援システム(ADAS)」は、ドライバーの操作や判断の補助を行い、事故をできるだけ回避させるための機能です。
たとえば、次のようなものがあります。
- 一定の車間距離を保つように、前方のクルマのスピードに合わせて、自動で加減速をする。
- 車線をはみ出さないように、逸脱を検知すると、自動でステアリングを補正する。
- クルマのライトの明るさを、天気や、トンネルの中など、周りの状況によって、自動で調節する。
- 人や車に衝突する危険性が高いときに、自動でブレーキをかけて、衝突を回避する。
このように、運転支援システムとは、アクセルやブレーキ、ステアリングなどの操作を、自動で支援してくれるシステムです。
各レベルは、以下の通りです。
「自動運転」とは
「自動運転」は、ドライバーを必要とせず、車が、自動で走行することを目的としたものです。
クルマの加減速や、ステアリング操作、駐車など、
これまで、ドライバーが行っていた操作を、「AI」が自動で行ってくれます。
各レベルは、以下の通りです。
レベル4以降は、ドライバーも不要になりますが、
どこでも無人で走れるようになるのは、レベル5だけです。
そりゃあ、自動運転にするための、インフラの整備は必要だから、
整うまで、場所が限定されるのは仕方がないけど、
それにしても、レベル3でもすごいでしょ。
運転するのは、緊急時だけで、それ以外はやってくれるんだから。
そうだね。
ドライバーは、前を見たり、ハンドルを握る必要はないし、
スマホや車載のテレビを見たり、本を読むなど、別のことができるようになるからね。
でも、レベル3なんて、本当に可能なのかな?無理なんじゃない?
じつは、ドイツのアウディが、2017年に、レベル3の自動運転(※)が可能な新型モデルを出し、ヨーロッパ先行後、昨年(2018年)、日本でも販売されたんだよ。
※高速道路などで、60km/h以下で走行する際、発進や加減速、ステアリング、停止などを、全て自動化する、というもの。
新型セダン アウディ A8 自動運転機能レベル3
しかしながら、日本では、アウディも、レベル2に抑えての販売となり、レベル3の機能は搭載されませんでした。
じつは、これには、法的な問題があり、実現にはいたっていないのです。
「自動運転」の事故の責任
クルマの運転は、命に係わることなので、事故をおこした場合の責任の所在などを、法律で明確に定めなければなりません。
じつのところ、自動運転で事故を起こしたらどうなるのか、責任はどこにあるのか、
ということは、まだ明確な答えが出ていません。
世界各国の道路交通法規のほとんどは、「ジュネーブ条約」と、「ウィーン条約」に則してつくられていますが、
自動運転車が事故を起こしたときの責任の所在については、
2つの国際条約の考え方に違いがあるため、まだ明確な答えが出ていないのです。
「ジュネーブ条約」では、
「自動運転車でも運転の責任は運転者にある」
としているのに対し、
「ウィーン条約」では、
「一定条件下ではあるが、自動運転システムに運転の責任を任せる」
としています。
じつは、日本は、「ジュネーブ条約」を支持していて、
国土交通省は、
「自動運転は、運転支援の技術に過ぎず、運転の責任は、運転者が負うべき」
という見解を出しています。
これに対し、ドイツは、「ウィーン条約」を支持していて、
法改正で、自動運転の実用化を後押しし、自動運転技術で先行しよう、
としています。
因みに、保険についてみても、「自動運転車が事故を起こした場合の当事者は誰か」「誰を相手にした保険なのか」といった責任の所在を明確にすることはできていません。
日本政府が示した大まかな指針では、
「人の関与の余地が残る、レベル3~4では、車の所有者や運転手が一義的な責任を負う現行制度を維持する。
ただし、システムの不備が事故原因となった場合は、
保険会社が、保険金額の一部負担を、自動車メーカーに請求できるようにする。」
となっています。
いずれにしても、保険の適用範囲などのルールも含めて、自動運転については、今後の議論の行方を見守る必要があります。
まとめ
「自動運転」の基本を誰でもわかるようにまとめてみた
このように、「自動運転」の実現化に向けては、技術もさることながら、法の整備も必要です。
このため、今後、各国での、自動運転の機能を搭載したクルマの販売については、
テストや法的な問題を含めて、段階的に行われていくでしょう。
日本政府は、本年度(2020年)中に、「完全自動走行」を実現し、
2030年までに、レベル5相当の走行技術を普及させる、としていますが、
特に、法整備やインフラが遅れており、ヨーロッパや米国に後れをとっています。
日本での「自動運転」の実現化は、まだこれから、といったところでしょう。
しかしながら、交通事故の大半が、ドライバーの過失に基づく、「ヒューマンエラー」である、というデータもあることから、
「自動運転」が普及すれば、事故を大幅に減らすことも可能なはずです。
少子高齢化の社会に向けても、
是非とも、早急な、自動運転に対する、法整備や、技術の発展に期待したいですね。
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