年金2000万円問題など、最近のニュースを見ていると、自身の老後の生活について考えずにはいられませんね。
退職金と年金だけで十分にやっていけるだろう、とは、ほとんどの方が考えてはいないのではないでしょうか。
今後の増税や、インフレに対する備えとして、貯蓄では不十分ですし、
外貨預金や株式、FXなど、投資を学んでおくことは必須だと思いますが、
それにも運用リスクがあり、それだけで十分に対応可能か、といえば、決してそうではないでしょう。
また、経済的なことだけでなく、できることなら、歳をとっても、張り合いを持って暮らしていきたい、と考えている方も多いのではないでしょうか。
その為には、自身の健康はもちろんのこと、
いくつになっても時代の変化についていかなくてはなりませんし、
いくつになっても自身ができる仕事というのを、今のうちから見つけて用意しておくことは必要です。
私たちには、一生働き続け、学び続ける覚悟が必要であり、
いくつになっても仕事に対して、向上心をもって取り組むことが大切だといえるでしょう。
若いうちから、仕事にどう取り組み、スキルを身に付けて、それを老後にどう生かしていくのか、考えていかなくてはいけません。
そこで、今回は、年金をもらう際の手続きについてご紹介します。
あらかじめ知っておくことで、自身の老後についてイメージでき、それまでになにを準備したらいいか、考えるきっかけにしていただけたら幸いです。
年金を知ろう~老後に備えるために~
年金の仕組みについて
年金制度、というと、とにかくわかりづらい、と言われていますね。
とはいっても、老後の将来設計に大きくかかわってくるものなので、
前もって、きちんと把握しておかなければなりません。
そこで、退職後に何が変わるのかをみてみましょう。
ご存じだと思いますが、日本に住む、20歳以上60歳未満の人は、だれもが、
国が運営する、「国民年金」に入っています。
この「国民年金」の被保険者は、次の3つに分類されます。
第1号から第3号の被保険者のすべての人は、
「国民年金」の保険料を一定年数支払うことで、老後にその分の年金を手にすることができます。
因みに、
会社を退職した場合は、
本人は、第2号被保険者から第1号被保険者へ、
配偶者は第3被保険者から第1号被保険者となります。
再就職後は、それぞれ第2号、第3号に戻ることになります。
会社員などの、第2号被保険者の場合は、
「国民年金」に上乗せする形で、「厚生年金」に加入しています。
また、会社によっては、さらに上乗せ部分となる、「厚生年金基金」に加入しているケースもあります。
つまり、会社員として働いている間は、二階建てもしくは三階建ての年金の仕組みが適用されているわけです。
この点で、会社員であると、定年後は、手厚い恩恵を受けられる、ということになります。
また、自営業などの、第1号被保険者であっても、
本人の希望によって、「国民年金基金」という、二階建て部分に加入できることもあります。
このように、退職することによって、二階建てもしくは三階建て部分の年金の仕組みが変わってくる、ということです。
退職時の年金の手続きについて
どちらの場合も、手続き時には、「年金手帳」が必要です。
「年金手帳」については、あなた自身が保管している場合と、会社が預かって代わりに保管してくれている場合があります。
退職後には必要ですので、もし、ないようでしたら、
在職していた、総務・人事担当者に問い合わせたうえで、もらうようにしてください。
すぐに転職先に勤め始める場合は、
入社したらすぐに、「年金手帳」を新しい会社に提出します。
一方、転職まで間がある場合には、
たとえ一時的であっても、「国民年金」の加入手続きが必要です。
これまでは、会社がやってくれていたことですが、自身で手続きを行うことになります。
「国民年金」への加入は、自身の住所地にある、市町村役場、で行ないますが、
申請に際しては、「年金手帳」の提出が求められます(※)。
※退職したことを証明するうえで、会社が発行する、「資格喪失証明書」などが必要になることもあります。
なお、「国民年金」の加入手続きは、
退職日の翌日から14日以内に行なわなければなりません。
第2号被保険者だったときに、配偶者を扶養に入れていた場合(第3号被保険者)は、
自身が第1号被保険者になった段階で、その配偶者も国民年金の加入手続き(第1号被保険者)が必要になります。
「国民年金」の保険料は、令和元年(平成31年)で、月々1万6410円 です。
もし、無職の期間が長くなるなど、保険料を支払う余裕がない場合は、
申請により、保険料の全部、又は一部が免除される制度もあります(※)。
※ただし、前年の所得等が条件となります。
年金は何歳からもらえる?
「国民年金」については、65歳が受給年齢となります。
対象となるのは、自営業者などの、第1号被保険者、
あるいは、会社員の配偶者などの、第3号被保険者です。
これに対し、二階建て構造になっている、「厚生年金」については、
年金の一部を、60歳からもらうことが可能です。(※)
この60歳からもらえる部分のことを、「老齢年金の特別支給」といいます。
対象となるのは、下記の条件を満たした人です。
ただし、生年月日が受給要件を満たす場合でも、金額は変わります。
これは、1階にあたる、「老齢基礎年金」の部分(定額)と、
2階にあたる、「老齢厚生年金」の部分(報酬比例によって算出される金額)が、
生年月日が後になるほど少しずつ減額される仕組みになっているからです。
先にも書きましたが、もともと、「老齢厚生年金」の支給は、60歳からだったのですが、法改正によって65歳に支給年齢が引き上げとなりました。
その急な改正への緩和措置になっているというわけです。
したがって、昭和36年4月2日以降に生まれた男性、
もしくは昭和41年4月2日以降に生まれた女性は、
「老齢厚生年金」の支給開始年齢は、「老齢基礎年金」と同様、65歳からになります。
上記の年齢以降の方の年金の支給開始は、完全に65歳からになったので、みんな、怒っているわけですね。
ただ、制度は、少子高齢化で今後も改悪されていくでしょうから、
今後も65歳になれば、本当に年金をもらえるようになるかは分かりません。
したがって、年金は何歳からもらうことができるのか?という問いですが、
上記以降の年齢の方は、その時になってみないと分からない、ということになります。
ですから、冒頭でも書きましたが、私たちには、一生働き続け、学び続ける覚悟が必要となるわけです。
働き続けている間にもらえる年金の額とは
60歳を過ぎてから退職し、再び働こうとする場合、気になるのはその間の「老齢年金」や「厚生年金の特別支給」が受けられるかどうかという点です。
65歳以上の場合は、「老齢基礎年金(1階部分)」については、
働くことによる収入の有無にかかわらず全額が支給されます。
問題は、二階部分にあたる、「老齢厚生年金」ですが、
これについては以下のようになります。
つまり、収入が多ければ、46万円をはみ出した部分の年金が、半分に減額されるというわけです。
複雑になるのは、60歳以上65歳未満で、「老齢厚生年金の特別支給」を受ける場合です。
基本としては、
月あたりの特別支給額(特別支給の「老齢厚生年金」の額の12分の1で計算)と、
総報酬を月額で計算した金額(総報酬月額相当額)の合計が28万円以下である場合は、月あたりの特別支援額が全額支給されます。
もし、28万円を超えてしまう場合は、総報酬月額が46万円以下であるか、それを超えてしまうかによって支給額が変わってきます。
総報酬月額相当額46万円を境にした計算法は、図を参照ください。
いずれにしても、昭和36年4月2日以降に生まれた男性もしくは昭和41年4月2日以降に生まれた女性は、65歳からの支給なので関係はありません。
退職後の生活を考えるうえで、自身はいくらもらえるのかは、きちんと把握しておいた方がいいでしょう。
まとめ
年金を知ろう~老後に備えるために~
- 退職することによって、年金の二階建てもしくは三階建て部分が変わってくる。
- 退職して一時的でも間がある場合は、退職日の翌日から14日以内に、「国民年金」の加入手続きを、自分で行わなければならない。
- 昭和36年4月1日以前に生まれた男性、または昭和41年4月1日以前に生まれた女性は、「老齢基礎年金」は65歳から、「老齢厚生年金」は60歳から支給される。
- 上記以外の方は、「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」ともに、65歳から支給される。
以上です。
年金について、概略をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
ご自身の老後の生活設計について、イメージをもっていただき、備えていただけたら幸いです。
コメント