人類は、2010年代までに、「産業革命」を、3回もおこしてきました。
「産業革命」とは、革新的な技術が登場して、これまでの安定していた産業のパワーバランスが崩れ、業界が再編成される変革のことです。
1980~2000年代にかけて起こった、「第3次産業革命」は、みなさんご存じの通りの、「IT革命」ですね。
コンピューターやインターネットという、ITの革新的な技術によって、これまでの常識ががらりと変わり、世界中のビジネスにおいて、企業が再編成されていきました。
Microsoftをはじめ、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)など、
それまでは、全く存在しなかった企業がいきなり現れ、
時価総額で、世界のトップ10に入る企業へと、あっという間に成長していきました。
じつは、日本は、この、「第3次産業革命」には、大きく、2度も失敗しています。
1つめは、日本のどの企業も、インターネットを、日本国内向けのサービスにしか利用しようとはせず、海外展開に失敗したことです。
このため、先に述べた、GAFAなどの企業は、日本からは、生まれることはありませんでした。
2つめは、携帯電話です。
携帯電話自体は、NTTドコモや、au、ソフトバンクの、3Gや、LTEといった、通信回線規格の開発により、
ソニーやNECなどの日本の多くの企業が、次々と携帯電話を販売してきました。
しかしながら、ガラパゴス携帯といわれた、通称、ガラケーから、スマートフォンへの移行が遅れ、
その間に、Appleの、iPhoneや、アジア諸国(韓国:サムソン電子、中国:ファーウェイなど)の、低価格の、Android に、世界の大きなシェアを獲得され、
現在は、日本の各社が、携帯電話事業から撤退しています。
そして、今、2010年後半~2030年にかけて起こると言われている、「第4次産業革命」は、「AI」や「IoT」の技術です。
中でも、もっとも大きな価値を生み出すであろう、とされている技術は、「AI」(人工知能)です。
以前、こちらの記事でご紹介した、「IoT」も、「AI」の技術を利用したデータを有効に活用する技術、のことです。

「第4次産業革命」においては、当然ながら、もう、日本は失敗は許されません。
なんとしても、この「AI」を、様々な製品に取り込んで、
他国にはまねのできないような、新しい価値を生み出さなければなりません。
決して、ガラパゴスではなく、世界を視野にいれた製品を作らなければならないのです。
米国、中国は、すでに「AI」の研究に、多額の投資を行っています。
一方、そういった世界の競合国に比べて、日本は、投資額が低い、とされています。
人材不足や、IT化の遅れ、投資意欲の低下など、様々な問題があります。
私達自身で、この問題に対して、真摯に受け止め、考えていかないと、
また、日本の産業は、世界で大きく後れを取ることになります。
そうならない為にも、今回、当ブログでは、「AI」について、取り上げてみることにしました。
みんなで、「AI」について学んでいきましょう。
「AI」とは~開発の概要~
先にご紹介しましたが、「AI」(artificial intelligence)とは、「人工知能」のことです。
では、「人工知能」とはどのようなものなのでしょうか。
広い意味だと、「人間と同じように考え、判断を行うプログラム」 ということになります。
ただし、この、「人間と同じように」 というところが、人によって、いろんな解釈があります。
結論をいうと、現段階では、「AI」(人工知能)は、人間のように、様々なものを創造して、高度なコミュニケーションをとることはできません。
「AI」(人工知能)は、「統計学における確率論に基づいたモデル生成を行うツール」だからです。
ちょっとなんのことやらよく分からないので、具体的に、イチゴの栽培を例にみてみましょう。
イチゴの栽培を、「AI」(人工知能)で管理する場合、
の3つを、説明変数とし、
その環境で、どれくらいの糖度になるのかを、目的変数とします。
「AI」(人工知能)は、気温、湿度、土壌水分の3つの数値から、イチゴの糖度を正確に予測できる計算式を、学習を通して作り出します。
この学習を、機械学習、といいます。
通常のプログラムは、計算式はあらかじめ決まっているため、同じ入力に対しては、何回計算しても同じ値を出力しますが、
機械学習は、同じ入力値でも、計算するたびに、違う結果を出力します。
機械学習は、出力結果と正解との誤差を見て、その結果を踏まえて、計算式を変えるのです。
機械学習には、
など、さまざまな、アルゴリズムがあります。
そこから、人間が適切だと思うものを選択します。
このアルゴリズムでは、学習するたびに、予測精度が向上する、
人間がプログラム内で指定した、数値パラメーター(ハイパーパラメーター)
が存在します。
もし、思ったような結果や精度が出ない場合は、
説明変数や、アルゴリズム、ハイパーパラメーターを変更することで、
再度、精度があがるかどうかを試す、ということになります。
これが、「AI」(人工知能)の開発の進め方になります。
つまり、現在の「AI」(人工知能)とは、
あらゆる条件を定めるデータから、答えとなる数値を得るための法則を発見するもの、
なのです。
「AI」でなくなる仕事
当ブログは、働く悩み、を扱っている、ということもありますが、
「AI」(人工知能)が、今後、仕事(職業)を奪うのか、ということは、誰もが気になるところでしょう。
これに対して、英オックスフォード大学の、
マイケル A. オズボーン准教授と、カール・ベネディクト・フレイ博士が発表した論文によると、
「AI」(人工知能)による知性を持ったロボットでも、今後、数十年間は難しいとされる業務には、以下の3つがある、としています。
それは、
です。
- 複雑な知覚操作を行う業務業務(複雑な操作)
人間と同じように、微妙な感触を認知し、微妙な力加減などが必要となる業務のことです。
「AI」(人工知能)を搭載したロボットにできない理由は、
ロボットは、人間に比べて、センサーの数が、圧倒的に少ないからです。人間は、皮膚などに存在する多くの感覚で、状況を把握し、柔らかい身体で、微妙な力加減を行っています。
このため、例えば、「AI」(人工知能)を搭載したロボットが、医療的な、人間の手術などを行うこと、は難しいでしょう。
- 創造性を必要とする業務(創造性)
これは、音楽や芸術などのように、斬新なものを新たに生み出すもので、かつ、
人間の心理に訴えるメッセージが込められたようなもの、のことです。例えば、伝統工芸なども、これにあたります。
その理由は、「AI」(人工知能)が、微妙な表現を作り出すには、人間と同じように膨大なデータが必要になるからだ、と先の2人は論文で述べています。
- 社会的なコミュニケーションを必要とする仕事(コミュニケーションスキル)
人に対する、高度なコミュニケーションスキルを必要とする仕事です。
例えば、交渉や説得、心のケアなどが該当します。
現在の「AI」(人工知能)では、リアルタイムに刻々と変化する人間の感情を的確にとらえ、
相手がどう思うかを想像しながら、適切な表現を行うことはできません。学習のために必要となるものが多すぎるからです。
以上のことから、
複雑な操作や創造性、コミュニケーションスキルを必要とする、人間的な業務や仕事は、「AI」(人工知能)で行うことは難しい、と言えます。
逆に、創造性を必要としない、作業に該当する業務や仕事は、
今後、「AI」(人工知能)を搭載したコンピューターが、人間にとって代わって行う可能性があります。
その象徴的な出来事をひとつあげると、
米国の投資銀行最大手の、ゴールドマン・サックスは、
2000年時点で、600人いた、株式のトレーダーを、「AI」(人工知能)に置き換え、
2017年には、なんと、2人にまで削減しました。
人間が行うデータ分析よりも、「AI」(人工知能)が行うデータ分析の方が正確である、という点から、
投資判断を、人間から「AI」(人工知能)に置き換えた、ということです。
「AI」(人工知能)は、天候や、人口の増減、政治情勢、ニュースなど、
非常に多くの情報から分析し、投資判断を行います。
日本においても、2018年に、三菱UFJ国際投信が、
「AI」(人工知能)が投資判断を行う投資信託、を発売しています。
このように、今後、金融業界においては、さまざまな投資判断を、「AI」(人工知能)が行う、と予測されており、
最も優秀な「AI」(人工知能)を持つ金融機関が、一番の人気を集める可能性があります。
一方で、「AI」(人工知能)を採用するリスクも懸念されています。
世界中の「AI」(人工知能)が、一定以上の学習を果たすと、
同じような考えを持つようになり、何かをきっかけに、同時に悲観的な判断を行って、
世界同時株安などを引き起こすのではないか、という懸念です。
また、大規模な自然災害など、まだデータが十分ではない出来事に対し、
どこまで臨機応変に対応できるのか、という懸念もあります。
とはいえ、金融業界において、「AI」(人工知能)は有用なツール、であることは間違いありません。
しかし一方で、「AI」(人工知能)活用のリスクもあることを、充分に考えながら、さまざまな対策を行うことが必要になってくるのです。
まとめ
AIとは~開発の概要や、なくなる仕事について~
- 「AI」とは
現在の「AI」(人工知能)とは、
あらゆる条件を定めるデータから、答えとなる数値を得るための、法則を発見するもの。 - 「AI」の開発の概要
説明変数や、アルゴリズム、ハイパーパラメーターを調整し、精度を上げていく。 - 「AI」でなくなる仕事
複雑な操作や創造性、コミュニケーションスキルを必要としない仕事。
※ただし、「AI」(人工知能)の活用には、リスクもあることを充分に考慮し、対策を行うことが必要。
以上です。
ご紹介したように、
「AI」(人工知能)により、私たちの暮らしや生活が便利になる一方、
今後、なくなってしまう仕事、というものもでてきます。
特に、仕事については、気になるところです。
ですが、考えてみて下さい。
あえて、「AI」(人工知能)にはできない仕事についてご紹介したとおり、
人間が、より人間らしい、創造性やコミュニケーションを必要とする業務、
つまり、私たちが、面白い、と思える仕事だけをできる時代がくる、とは言えないでしょうか。
「AI」(人工知能)が、私たちの社会に浸透していけば、
仕事がつまらない、とか、働くことに意味が持てず、悩み苦しむようなことも少なくなるかもしれません。
冒頭でご紹介したように、「第4次産業革命」は、「AI」や「IoT」の技術です。
職業選択として、「AI」(人工知能)や、それを利用する「IoT」そのものの開発に携わるのもいいですし、
先に述べた、より人間らしさを追求した仕事に取り組んでいくのもいいでしょう。
本記事が、あなたのわくわくするような未来と、また、その中でどう過ごしていくか、
その創造に、少しでもお役立ていただけたら幸いです。
それでは、また。
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